異文化交流?国際交流?呼び方の違う2つの交流の違いは?
全世界でグローバル化が進む中、ますます他国との関係性や交流の必要性が高まっています。
しかし、重要性が唱えられているとはいえ、他国の人と交流をすることは簡単ではありませんし、交流を持つ機会はなかなかありません。
他国との交流や関わりとなると、難しいと想像しがちです。
しかし、最近では個人や地域・学校といった小さな団体単位で、たくさん実施しています。
しかし実際のところ、国際交流と異文化交流にはどのような違いがあるのかをしっかり理解しておかないと、円滑な交流にはなりませんよね。
今回の記事では、国際交流と異文化交流の違いについて解説していきます。
国際交流とは?
国際交流とは、他国の人達と交流することで、お互いの国について理解したりよく知ったりするための活動です。
日本社会のみならず全世界でグローバル化が進む中、国家レベルの関係者同士の外交だけではなく、一般市民が交流して、他国についての理解を深める必要性も高まってきました。
今後オリンピックや万博などの影響により、日本も一層グローバル化が進むことが予想されます。
それと同時に、英語教育の必要性も今までに比べて、一層重視されることになると予想されます。
世界に認められ続ける国になるには、国際交流がますます重要になっていくでしょう。
異文化交流とは?
異文化交流とは、多文化の人々とコミュニケーションをすることを指す言葉です。
異文化交流を積極的に行っていくことで、他国の文化、価値観、視点を見つけ出すことができます。
そして、異文化を知ることで自国文化の魅力を再認識することができ、豊かな人生を歩むことができるでしょう。
国際交流と異文化交流の違い
ここまで聞いてきて、両者にはあまり違いがないように思えるかもしれませんが、実は細かなところに違いがあります。
見落とされがちな「国際交流」と「異文化交流」の違いについて、細かいところに視点を置き、それぞれの違いを3つ挙げていきます。
国際交流と異文化交流の違い1:交流内容が異なる
国際交流と異文化交流では、主に以下のような交流の内容に違いがあります。
<国際交流>
お互いのこと、お互いの国ことを談笑する
<異文化交流>
国を超えた仲間たちと交流し、文化伝統歴史を重視して多文化理解を進める
大きな違いは「文化」の文言の有無ですが、ここは大きな違いであります。
互いの文化を認め合い、文化・アイデンティティを尊重しながら違いを認め合うことは、今の世界にとって非常に重要なことであるといえます。
現代のグローバル社会の中で、異なる文化に違和感を覚え、差別へ進んでしまう人もいます。
いかに異文化理解が必要かを物語っているでしょう。
また、グローバルのみならず、国内でも違いを認め合う力が求められています。
国際交流と異文化交流の違い2:交流規模の違い
国際交流は、企業や学校、組織単位、国家など規模が大きいものが多いです。
例えば、企業の企画した海外研修、学校が斡旋している交換留学、また非営利組織によるボランティアも国際交流といえるでしょう。
それに対し異文化理解は、個人レベルでの関わりが中心で小規模なものが多いです。
文化背景の異なる人同士のコミュニケーションが中心で、「英語の授業でALTの先生にアメリカのクリスマスの過ごし方を教えてもらった」「中国からの留学生がお正月の伝統を教えてくれた」など、日常的なことが”異文化交流”といえるのではないでしょうか?
国際交流と異文化交流では規模の大きさに違いはあるものの、どちらにせよ自分とは異なった文化的背景を持つ人との交流です。
違う文化に触れるということは、自分の視野を広げることにもつながり、新たな視点で物事を見られるという点において、重要な役割を果たします。
積極的に交流することで、自分を成長させるきっかけになるのではないでしょうか?
国際交流と異文化交流の違い3:資金の違い
国際交流と異文化交流は、資金という面で大きく異なってきます。
例えば、国際交流の場合、海外研修では企業が資金調達を行います。
「誰をどの国にどのくらいの期間行かせるか」
「どのくらいのお金を支給しどこで生活させるのか」
など、研修に行かせるには企業がある程度の資金を注入して行われるのです。
学校に関して言えば、自己負担は一部の資金のみで留学に行けるところも少なくありません。
また、国家規模に至っては税金を注入して国際関係、信頼関係を構築しています。
一部例外ではありますが、NPOなどの非営利組織では、民間企業や個人からの善意協力や募金によって成り立っています。
それに対し、異文化交流はあくまでコミュニケーションが主体で、資金はすべて自己負担です。
主体的にコミュニケーションをとることが求められ、自主的な参加、積極的な行動こそがポイントとなります。
このように、国際交流では大きなお金が動き、国家や企業、学校などの組織によって計画、実行されるのが特徴で、異文化理解は日常生活の中で行われ、主にコミュニケーションをとることが目的です。
お互いを理解し合い、文化に優劣をつけず偏見を持たないことが今後の社会には必要になるのではないでしょうか?
傷つけあうのではなく、尊重し合える世界になることが世界の発展の第一歩となります。
これからの異文化交流はどうなる?
「新型コロナウィルス」という未知のウィルスにより、全世界は窮地に立たされました。
日常的な生活が送れず、オンラインで授業を進める
友達にも会えず、好きなところに行き来ができない
先行きの見えない日常を過ごすことを強要されました。
しかし、それに伴って良かった点もあります。
「日本はICTに弱い国」と他国から認識されています。
(ICTとはInformation and Communication Technologyの略で情報通信技術という意味)
アメリカでは、オンライン授業は日常的であり、ごく普通のことでした。
しかし、新型コロナウィルスの影響により、日本もオンライン化が半ば強制的に進んでいきました。
家からでも学校の授業が受けられる
家からでも仕事が進めることができる
などような認識が日本でも一般的になってきたのではないでしょうか?
これからの時代、新型コロナウィルスが落ち着いた後の時代でもオンライン授業やオンライン異文化交流が定着し、どこにいても異文化交流が可能な時代になるのではないかと予想できます。
従来の異文化交流とオンラインの違い
「その国その場所に訪れて、現地の人たちと交流する」というのが従来の異文化交流でした。
しかし、最新のオンライン交流は「Zoom・Skype・LINE」を活用し、オンライン上で交流を進めていきます。
ここでの交流の大きな違いは、「リアルかオンライン」にあります。
南山大学が米国関連校とオンライン交流を実験的に実施し、学生にアンケートをとった結果がありますので紹介します。
「みんな発言していた」「英語と日本語を交えながら進めることができ、置き去りにならなかった」といったコメントを得ることができました。
本プロジェクトを通じて、参加学生の英語学習及び交流に対するモチベーションが向上しただけではなく、交流相手の所属大学に対して関心を持つ学生が一定数いたということで、オンライン国際交流の新たな可能性を感じさせてくれました。
コロナ禍であっても、オンラインの手法を駆使することによって、従来の教育メニューから新たなプログラムを意味出すことができる可能性を導き出すことができたのです。
このようなプログラムはアフターコロナの時代における学生のモビリティ向上にもつながると確信されています。
参考文献:コロナ禍におけるオンライン国際交流 ―南山大学における実践報告―
国際交流と異文化交流の違いのまとめ
国際交流と異文化交流には、あまり大きな違いはありません。
しかし、細かなところを見てみると、違いがあるのがわかりますよね。
国際交流と異文化交流には、個人レベル・地域レベルともに多くのメリットがあります。
学校で開催される交流会や海外旅行中や留学中に、積極的に交流を図ることで、自らの価値観や視野を広げていきましょう。
多様な文化や考え方に触れることで、自分が住む日本の良さを再発見できたり、他国の良さを見つけたりすることができるはずです。
ぜひ、自分から機会を見つけて、様々な国の人々との交流やコミュニケーションをとっていきましょう。